シート補修(おきまりの…)
 世にあるすべてのビートの運転席シートはほつれている。もしほつれていないシートがあるならば、それはほとんど乗られていないか、シートまたはカバーを新品に交換している個体である。数年前までは、ビート購入の際にはシートのほつれに注意などと雑誌に書かれていのだが、今や「ビートのシートはほつれているもんだ」というのが一般的なのである。まぁ設計ミスといえばそうなのだけれども、しかしこんなすばらしいマイクロスポーツを作り上げたホンダに目くじらを立てるのは、本棚の上に指を這わせて「あら、○○さん、ほこりがこんなに残ってるざますわよ」などと嫁をいびる鬼姑のようなもので、要するに「そんなことは大きな問題ではない」のであると思う。
 ということで自分も気にせずにビートを使用していたんだけれど、シートの破れが大きくなって、中のウレタンがボロボロと中から湧いてくるようになってきてしまった。このままでは取り返しの付かないことになってしまう!と感じ、さらに、シートが汚れに汚れているのも気になり(実に13年分・自分含め4オーナー分の汚れ)を一気に洗浄してしまおうと思いついた。そう、この時点では後の作業が辛いものになるということは知る由もない。
 
 まずは運転席のシートを、シートベルト装着警告センサの配線を引きちぎらないように外す(結構楽チン)。
 シートを室内に移し、シートレールを外すのであるが、ボルト留めがもう硬いの何の!!4箇所のうち2箇所をなめちまいました。結局CRC556を室内で吹きまくり、全体重をかけて外しました(外した工具はJIS規格のメガネレンチではなく、最後は100円ショップのレンチだった!壊れても惜しくない位に思って工具をひっぱたくぐらいの方が取れたりする)。この時点で夜八時過ぎだったので、ホームセンターでボルトを買ってきましたよ(こういうことがあると、精神的に疲れる)。
 次にシートカバーを剥ぐのであるが、これがもう!、、嫌になるくらい針金で留めてある。背面は4箇所だったので「敵は恐るるに足らず」などと思ってしまったのだが、座面に移った途端、大反撃にあった。
 「将軍、敵の増援は我々の予想を遥かに上回っております!」てな感じである。もう、夜10時過ぎにこういう事態に陥ると、「はぁ、もうダメ…」などと途方にくれてしまう。
 まあとにかく、単純作業だったので、がんばって外しました。
←座面裏側。シートカバーが針金でくくりつけられているのがお分かりでしょうか?
←座面表の左部。発泡成形ウレタンにワイヤーが埋まってて、それに針金でくくりつけられている。ペンチでむしりとっていく
←またかよ!と突っ込みを入れる気力すらなくなってきます。写真下は、擦り切れてボロボロのウレタン。例の、座面右部です。
←座面表側後部。しつこいくらいに針金でくくりつけられている。
←昼間買っておいたスポンジでウレタン欠損部を補修しました。適当に切り、穴に埋めてゴム系接着剤を埋めていきました。
←最終形態。最後に薄く切ったスポンジを、欠損し、補修した部分を包むように巻きました。バンドエイドのようなイメージです。
 剥ぎ取ったシートカバーはそのまま洗濯機へ。。。布製だし、出来ることなら自動車関係のパーツだって丸洗いが一番ですよ。
 洗濯機がカバーを洗ってくれている間、シートの補修をします。この作業が一番楽しいし、「オレ、シートを補修してるぜ!内装屋みたいだぜ!!」と実感できる作業です。ウレタン欠損部分に合う大きさにスポンジを切り、ゴム系接着剤(テロソン製:黒ゴム接着剤←結構万能です。幌張替え・シフトブーツの接着でも使用しました。で接着・隙間を埋めていきます。最後に薄く平面状に切ったスポンジを補修部に巻いてこの日は作業を終えました(もちろんカバーを干してからね)。
 
 翌日、カバーの補修を行いました。補修方法は非常に迷いました。カバーを分解し、新しくカバーを自作するか、擦り切れたシートを適当に縫ってごまかすか、アップリケをべたっと貼ってしまうか、、、、いろいろ悩んだ末、レザーをカバーの裏側から縫い付けることにしました。ほつれ部はそのままということになってしまいますが、カバーを(糸を切って)分解しなくて済むので取り返しの付かない事態は避けられます。車いじりの基本は、自信のない作業で、かつ後戻りできない作業はしない ということが重要です(欲望が勝るときは、スペアをヤフオクでゲットしましょう。
 
 補修用に買っていたビニールレザーシートを、欠損部より大きめに切り出し、シートカバーの裏から当ててミシンで縫い付けました。結果は、、、かなり(自己)満足のいくものでした。ミシンは楽しいと生まれて初めて感じました(というより、小学校の家庭科以来です)。
←ビニールレザーを裏から縫い付けました。
←座面補修部です
←座面右部。同じくレザーシートが見えます。また、外周のミシン目が見えますね。つまりレザーシートはこの大きさで裏から縫い付けられています。
←背面右部。破れの下から丈夫で柔らかいビニールレザーシートが見えます
←完成形。スポンジの肉盛りがシート右部のボリュームを復活させています。
←完成形。補修部拡大。ミシン目が見えています。が、見苦しくありません。また、補修跡も、「愛されてるねぇ」って感じで見えます。
←せっかくシート外したので、徹底的に清掃してから取り付けました。
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